アレキサンダー大王銀貨ラクレスとゼウス(Hercules&zeus)

売却済

直径約26mm

重約16.6g

BC323-BC317

金性AR (Silver)

状態VF(美品)

参考:Price3902

マケドニア王国(Macedonian)発行,額面テトラドラクマ(Tetradrachm),表面図柄ヘラクレス(Ηρακλής),裏面図柄ゼウス(zeus)坐像。

説明

3世(alexander,Ἀλέξανδρος Γ’)の4ドラクマ銀貨。表面はライオンの頭皮を被ったヘラクレスを模した大王肖像、裏面は椅子に腰を下ろしたギリシャ神話の最高神ゼウス(ΖΕΥΣ)の坐像とされる。坐像の面はすり鉢状に窪んでいる。ゼウス神は右手にゼウスの聖鳥である大鷲を休ませている。椅子の下のマークは貨幣発行地がバビロニアであることを示すミントであるらしい。

ゼウス坐像の右側には、古代ギリシャ語で「アレクサンドロスの」(Aleksandrou)を示す「AΛΕΞΑΝΔΡΟΥ」(ΦΨΛΙΓΓΟΥ)という王名を刻印。父親のフィリッポス2世の貨幣銘文を受け継ついだもので、東征とともに東方世界に広がった。この組み合わせのモティーフは、ドラクマ銀貨など、他のコインにも用いらた。

アレクサンドロス3世(アレキサンダー大王)は、BC336年からBC323年まで在位した古代マケドニア王国の若き王。少年時代より数々の武勇を誇り、その存在は当時から生ける伝説として知られた。ここで取り上げるアレキサンダーコインとは、通常ヘラクレスの肖像が表現されたテトラドラクマ銀貨を指す。

テトラドラクマの「テトラ」とは、古代ギリシャ語で「4」を示し、ドラクマ銀貨4枚に相当した大型銀貨。当時のテトラドラクマ銀貨は日常的に使われていたコインではなく、交易や戦争、神殿建設など大規模な出費が伴う際に、対外決済用として発行されたもの。

アレキサンダー大王は生前より、自身をギリシャ神話の英雄ヘラクレスの末裔と自称。ヘラクレスはゼウスの子であり、神の力を備えた猛々しい英雄として、当時のギリシャ男児の憧れの存在だ。当時のギリシャ諸都市で発行されたコインには、存命中の人物が表現されることは無く、多くはギリシャ神話の神や女神だった。アレキサンダー大王もそれに従い、文字通り表面上は「ヘラクレス」として表現させたが、実際はライオンの皮を被った自らの肖像を打たせ、自身の権威が神に並ぶものとして示したと考えられる。

アレキサンダー大王が亡き後、後継者達は亡き大王の権威と名声を最大限活用し、大王の神格化がコイン上でも進められていた。その為、従来のヘラクレススタイル以外の肖像でも、数多くのアレキサンダーコインが造られた。プトレマイオス朝エジプトをはじめとする幾つかの地域では、角の生えたアレキサンダーの肖像をコインに表現。これは「大王はアモン神の生まれ変わり」との神託を受けたことに由来。

また、東方に遠征し、最終的にインド征服を企てていた大王の姿は、象の皮を被ったスタイルでもコインに表現されている。象皮の頭巾は言わば武功、武勇の象徴でもあった。象の皮を被った大王が打たれた銀貨は、総督時代のプトレマイオスが統治したエジプトで発行。一般的な「獅子の皮」に代わった亜種として知られるが、希少性が高い一枚として知られている。

大王が亡くなった後も200年以上の長きに渡り、地中海を中心として多くのアレキサンダーコインが各地で発行された。「ヘラクレス/ゼウス神坐像」という基本的なスタイルを保ちながらも、各時代、地域の彫刻師による個人差が表されている。同じテーマを与えられても、描く人によって差異が出るのと同じように、アレキサンダーコインは当時の人々や地域の持つ技術力や美意識が反映されている。

古代コインコレクションを行うにあたって、多種多様なアレキサンダーコインの中から「これは!」と目に付いたものがあれば、それはその人の感性と、そのコインが造られた時代、地域、造った彫刻師の感性が見事にシンクロした瞬間といえるだろう。古代に生きた人々と現代を生きる人々を繋ぐところに、古代コインのロマンがあると感じる。アレキサンダーコインの面白味は、そういったところに感じられる。

アレキサンダー大王の時代に至る紀元前4世紀は、小アジアにおいて貨幣が相当に発展した時期であったが、またペルシャの勢力がこの地域で強くなった時期でもあった。ギリシャの都市の多くは、素晴らしい様式のコインを生産し、かなり多く発行した。

アレキサンダー大王時代以降、王の肖像を大きくコインに表現するようになってからは、人物(君主)の肖像がある方を表、神々の坐像や立像などの全身像が表現されている方が裏とされている。人物肖像があるコインの場合、王の名や称号銘は肖像と共には刻まれず、裏面に刻まれている例が多く見受けられる。

またアラブやトルコ、イランなどのイスラーム諸国では伝統的に偶像を描くことを忌避することから、両面共にアラビア文字の文言のみが刻まれた。この場合、どちらが表なのかを判断することは、非常に難しい。

ちなみに古代中国で造られた、穴銭などの鋳造コインの場合、漢字などの文字が大きく刻まれている表面にも関わらず、裏面には簡単な記号や、何も表現されていないことが多かった。

Herakles and Zeus

Macedonian Kingdom, Philip III and Alexander IV, 323-317 B.C.Silver drachm,VF, attractive style, Troas, Abydus mint, weight 16.6g, maximum diameter 26mm

obverse Herakles’ head right, clad in Nemean lion scalp headdress tied at neck; reverseΦΨΛΙΓΓΟΥ, Zeus seated left on throne, right leg drawn back, eagle in extended right, long scepter vertical behind in left, horse leg left, Ξ under throne; ex Nemesis;

Herakles is the son of the divine Zeus and mortal Alcemene who was cursed by the jealous Hera to murder his entire family. He then had to overcome twelve labors given to him by King Eurystheus to repent for the atrocity. The first labor (defeating the Nemean Lion) is portrayed on the obverse of this coin.

Zeus is the main king of the Olympians ruling over the realm of man. He is known to be a notorious womanizer having affairs with several divine and mortal women, which constantly makes his wife Hera extremely jealous. He is associated with lightning and the eagle (as shown on the reverse of this coin) among other symbols.

Reference

Herakles plus Zeus Aetophoros accompanied by Helios

Herakles on the obverse with Zeus seated with his eagle (Zeus Aetophoros) on the reverse was the standard reverse typology of Alexander the Great and his immediate successors (the Diadochi). On this coin of Babylon the image of Zeus Aetophoros is accompanied by an image of Helios in the left field. Three gods for the price of one.

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