説明
1920年代、日本社会では書物の大量生産が可能になると伴い、書店に流通する公刊本が満たすできない特殊な欲求を満足するため、会員限定で頒布された所謂「エロ(性・風俗)・グロ(猟奇・犯罪)」本も執筆、編集、印刷、製本、広告までを一手に担い、公刊流通のルートとは異なる独自の流通網を作り上げた「珍書屋」も出現されていた。
こんな状況のなかで、特に梅原北明が上海を拠点として、少部数の性風俗書籍を秘密出版され、発禁を徹底的に対抗されている。印量が少ないつき、現在でもなかなか入手できない稀覯本となってしまう。
春画が古来基本的に匿名だが、本稿は「一万一千本の鞭」とよく似ている嗜虐癖(sm)題材の春画としてその珍しさはいうまでもない一方、刊記に当たる「上海にて」の落款は極めて貴重だと言える稀覯本になることも無論。
梅原 北明(うめはら ほくめい、1901- 1946)は日本の作家・編集者。本名は梅原貞康。昭和初期のエログロナンセンス文化を代表する出版人である。宗教研究家の梅原正紀は息子。別名・烏山朝太郎、談奇館主人、大塚倭堂、吾妻大陸ほか多数。
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