説明
ルネサンス期、アルドゥスがイタリック体で造った小型本から、総革装に幾何学模様・金箔押しのグロリエの装丁本、さらにロココ時代の艶笑本挿絵、ベル・エポック期に沈没したタイタニック号に積まれた宝石本など、西洋の挿絵・製本・蔵書票のエピソードを綴る。惜しまれつつ亡くなった著者最後のエッセイ。図版170点収載。
目次より
ルネサンス編
ジャン・グロリエの旧蔵本について
ロマン派編
ページに舞う小さな妖精
回顧典編
愛書家出版の時代
ベル・エポック編
ハリウッドの挿絵画家
蔵書票の誘惑
ブックデザインとしての蔵書票
書評・書物、その悦楽の世界へ―
―昨年早世した美術史家が生前、誌紙やウェブサイトで発表した論考八十余編を収録。(略)愛書家の手から手へ受け継がれ、美術館などの表舞台に現れることはほとんどない稀覯本の世界を知る、よき指南書となるだろう。豪華な西洋の革製本から和装本まで自在にめぐる筆致は、コレクターらしく書物への愛情にあふれ、初心者にも親しみやすい。
(季刊『銀花』161号,2010年2月)
美しい印刷と挿絵、繊細な箔押し装飾、ルネサンス期の総革装本、宝石がちりばめられた豪華本、すべて手作りの一点製作本、そして個性的な蔵書票―。西洋の芸術的な書籍を狩猟しつつ、日本における愛書趣味の推移や印刷と製本の歴史をひもとく。モノとしての本の魅力と価値をうたったエッセー集。百七十点の貴重な図版も収録。
(東京新聞,2010年2月14日)
気谷 誠(きたに・まこと):美術史家。BIBLIOTHECA GRAPHICA主宰。玩具荘文庫主人。著書に『風景画の病跡学-メリヨンとパリの銅版画』(平凡社)、『愛書家のベル・エポック アンリ・ベラルディとその時代』(図書出版社)、共著に『鯰絵新考 災害のコスモロジー』(筑波書林)など。2008年9月22日永眠。
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