第69回特別展示会!福井崇蘭館の秘籍-杏雨書屋開館40周年記念(カラー図版60点)

売却済

杏雨書屋編

武田科学振興財団

2018年10月初版1刷

25.8×18.3cm

58頁

日本語

正誤表付、宋元版・古版本・古写本30点

説明

医薬品会社が集積する大阪市中央区道修町(どしょうまち)は「薬のまち」と呼ばれる。この街にある医学・薬学の古書籍の図書館「杏雨書屋(きょううしょおく)」にこのほど宋や元、明の時代の医薬書など154点830冊が文化庁から寄託された。京都の医家、福井家が江戸期~明治期に収集した「崇蘭館(すうらんかん)本」と呼ばれるコレクションの一部で、重要文化財級の本を含んでいる。東洋の医学史や出版印刷史、国際交流史を物語る貴重な史料だ。

福井家は福井楓亭(ふうてい)(1725~92)から4代続けて幕府や朝廷に仕え、名医の家系として知られた。自邸を「崇蘭館」と称して代々、医薬書の収集にも励んだ。「コレクションの規模は日本有数。畿内ではトップだった。宋代の版本(印刷された書籍)をはじめ古い書籍を数多く所蔵したのが特徴だ」と、杏雨書屋の小曽戸洋・副館長(書誌学)は説明する。

京都には他にも伊良子(いらこ)家など著名な医家があり、それぞれ医薬書を収集していた。小曽戸副館長によると「幕府や朝廷に仕える医師は世襲が多く裕福だった。ステータスに加えて情報の蓄積が医術の向上につながるため、みな熱心に医薬書を集めた」。コレクションは各家とも秘蔵し、めったに外部に見せなかった。

福井家の場合、収集品は本だけではなかった。訪問した人の記録によると万巻の書籍に加えて額や掛け軸、茶道具など多岐にわたった。邸宅や調度品は中国風の凝った造りで、露台(展望台)から京の家並みが一望できたという。

明治になると、他の医家が手放したコレクションが次々に崇蘭館に集約され、その蔵書は膨れあがった。だが福井家が医学界から離れた大正以降、断続的に市中に流出した。

文化庁が近年まとめて売りに出されたところを、散逸や海外流出を防ぐため同庁が11億5千万円で購入したものだ。「崇蘭館本がこれほど大量にまとまって出現するのは、おそらく最後では」と小曽戸副館長は語る。「書き写した本は残っているもののオリジナルは明治以降に行方不明になっていた本、初めて存在が知られた唯一無二の本などを含んでいる。現代まで残っていたのがびっくりだ」。

一方、杏雨書屋は武田科学振興財団が運営し、中国や日本などの古い医薬書コレクションでは日本一とされる。関東大震災で貴重な文献が失われたことを嘆いた五代武田長兵衛が始めた収集活動が出発点で、現在の蔵書は国宝3点、重文14点を含む4万点余り、約15万冊に上る。唐代の医薬書「新修本草(しんしゅうほんぞう)」「黄帝内経(こうていだいけい)太素(たいそ)」を平安~鎌倉時代に書き写した巻物(共に重文)といった崇蘭館本も、以前より所蔵している。

レビュー

レビューはまだありません。

“第69回特別展示会!福井崇蘭館の秘籍-杏雨書屋開館40周年記念(カラー図版60点)” の口コミを投稿します

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です